スイングの正確性を高める、ヒップターンと「左ふところ」の作り方。

スイングの正確性を高める、ヒップターンと「左ふところ」の作り方をジャスティン・ローズ(Justin Rose)のスイングから学ぶ。

ジャスティン・ローズのヒップターンと「左ふところ」の作り方

世界ランク最高3位(2013年4月時点)の実力者、ジャスティン・ローズ(Justin Rose)のスイングです。

以下の画像はアドレス時とインパクト時を比較したものですが、アドレス時でセットされたお尻のライン(黄色線)が、切り返し後、腰を切っていく際に前後に振れることなく維持されてインパクトを迎えているのが分かります。また、「左ふところ」に広く空間を確保しているのが見て取れると思います。
(ボールを正確にインパクトするためには、アドレス時で作った手元の位置はインパクト時に可能な限りアドレス時に近い位置に戻ってくることが理想です。ただ、ジャスティン・ローズに限らずほぼ全てのトッププロでも、クラブの遠心力により、若干だけ手元が前方に押し出されてしまうことになります。※青丸の部分)

ジャスティン・ローズのようなヒップターンを行うことで、「左ふところ」に腕を引き込むスペースが生まれます。この「左ふところ」のスペースを上手く作ることで、インサイド方向へクラブを振り抜くことが可能となります。「左ふところ」が狭くなると、両腕の通り道が狭く詰まるようなスイングとなり、パワーを大きくロスします。更にはスイング軌道がブレて、曲がる球が出やすくなります。

「左ふところ」が狭くなる典型的なスイングのパターン

「左ふところ」が狭くなる典型的なスイングとして、切り返しで右腰が前方方向に押し出されるスイングがあります。右腰が前方方向に押し出されるスイングになりますと、アドレスで作った骨盤の前傾角度が維持できず腰や上半身が起こされてしまいます。腰の回転がスムーズに行えなくなるため、トップスイングで作ったパワーが無駄になってしまい、飛ばずに曲がるというスイングとなってしまいます。また、腰から手元や腕が前方へ押し出されてしまうことになるため、ボールがクラブのヒール側に当たりやすくなり、ドライバーであればスライス、アイアンであればヒールシャンクの温床となります。

・この方は「左ふところ」にスペースが無くなっていて、いかにも窮屈そうなスイングとなっていますね。

・この方は比較的綺麗なスイングですが、右腰が突き出ることで前傾が起こされています。

この動きを矯正できないと、
 ①アウトサイドインのスイング軌道の持ち主は、アウトサイドイン傾向が更に増長され、左方向への出球がよりキツくなります。また、残念な飛距離しか得られなくなります。
 ②インサイドアウトのスイング軌道の持ち主は、アウトサイド方向に振り抜くことしか出来なくなることで、右方向へのプッシュアウトか、右への出玉からさらに右に曲がるプッシュアウトスライスが基本の出玉となります。多くの場合右を嫌って、そこから無理やり腕を返して引っ掛け、チーピンが止まらなくなるという悪循環に突入してしまうことになります。

「左ふところ」を確保していくスイングを身につけていくことが、正確なインパクトを再現していく上ではとても大切です。

「左ふところ」を作るためのポイント

この、「左ふところ」を作るためのポイントはいくつかありますが、1つはダウンスイング以降でもアドレスで作った前傾角度を維持することが大切です。切り返し後にボールを打ちに行こうとして右足が蹴り上がる動きになると前傾が起こされ伸び上がってしまいます。前傾角度を維持するためには正しい体重移動とヒップターンが必要となります。(関連記事:理想的な体重移動・重心移動とスエーしないための尻のターン) 端的に言うと、切り返し後、左足拇指球方向から左足カカト方向への体重移動がスムーズに行えないと、腰が詰まって体が起こされます。

「左ふところ」を作るためのヒップターンの矯正については、以下のレッスンが参考となります。ゴルフバックを左尻に当てたままスイングを行うドリルです。他には、両足をベタ足でスイングする練習を行うことも効果的です。スイング中に右のカカトの蹴り上げを抑えることで前傾をキープしやすくなります。
ご参考となれば幸いです。

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タイガー・ウッズを復活させた名コーチ、ショーン・フォーリー(Sean Foley)による、スイング軸の考え方。

タイガー・ウッズを復活させた名コーチ、ショーン・フォーリー(Sean Foley)による、スイング軸の考え方。

ショーン・フォーリーがコーチした、そうそうたる顔ぶれ

タイガー・ウッズを復活させた名コーチ、ショーン・フォーリーによるレッスンです。
ショーン・フォーリーは2010年の夏からタイガー・ウッズのコーチを行っていますが、他にもジャスティン・ローズショーン・オヘアハンター・メイハン、パーカー・マクラクリンなどの超トッププレイヤーの指導に携わり、結果を残しています。

ショーン・フォーリーの理論とスタックアンドチルト理論

ショーン・フォーリーの理論は、体重移動を行わないことを理想としています。
アドレス時に体重の55%を左足加重とし、スイング始動からインパクトまでの間には、体重配分の80%を左足にかけながらスイングすることを推奨します。左1軸でスイングするイメージですね。(右打ちのゴルファーの場合)

右足に体重を移動させるという発想がないものは、従来のゴルフ理論ではあまり考えられなかったものです。当然、体重移動を行わなければ飛距離は落ちます。
しかしながら、インパクトの正確性と再現性という視点からは理にかなっているものです。

これは、ゴルフインストラクターのマイク・ベネットとアンディ・プラマーが提唱したスタックアンドチルト理論と類似性があると言われ、ショーン・フォーリーも類似性を認めてはいるものの、フォーリー自身は体系化された理論を発表していません。(故に、タイガー・ウッズがスタックアンドチルト理論で復活したと言うのは厳密に言えば誤っています。)

ショーン・フォーリーが考えるスイング軸

紹介する動画は、そんなショーン・フォーリーによる、スイング軸の考え方のレッスンです。
ショーン・フォーリーは2つの仮想軸と、仮想プレーンを用いてスイングを考えます。

ショーン・フォーリーが考える仮想軸の1つは、頭の中心から、背骨を経由した架空の垂直線です。この垂直線は、ゴルフスタンスと、スイングの中心点を識別するために使用します。そして、この垂直線を中心に、右半身と左半身を2等分されているイメージを持ちスイングを行います。

もう1つの軸は、腰を横切るように地面と水平の板が通っているイメージを持ちます。この板を境に上半身と下半身が2等分されているイメージを持ってスイングを行います。この2つの仮想軸をスイング中維持したまま、スイングすることをフォーリーは推奨しています。

ショーン・フォーリーのレッスンはこちらの関連記事もご覧ください。
 ・タイガー・ウッズのコーチ、ショーン・フォーリー(Sean Foley)による、バンカーショットレッスン

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